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台湾便り 金門(2) 翟山、金門城、水頭 [離島]

朝起きると外は強い風です。高い山を持たない金門は、この季節は強い風が吹きます。入口の間でしばらくのんびりしていると、羅さんが外帯(お持ち帰り)の廣東粥と焼餅を買ってきてくれました。昨晩、羅さんに「朝ごはんは何が食べたいですか?」と聞かれたので、これをお願いしていたのですが、ちゃっかり外のお店で買ってきたようです。羅さんには中学生の女の子を筆頭に三人のお子さんがいる上に、民宿をひとりで切り盛りしているので、いつも忙しそうに動き回っています。

バイクで出かけようとすると、「今日は珠山の資料館を見ていったら?中には入れるのは日曜だけだし、9:00には係の人が鍵を開けに来るから、もうすぐ見学できますよ」と教えてくれました。台北から来た女性も興味があるというので一緒に出かけました。胡蘆(瓢箪)の形に切り欠いた小窓のある門をくぐると、煉瓦作りの立派な二階建ての家が現れました。

展示されているものはあまり変哲のない日常品ですが、胸にバッジを付けた係の女性が親切に説明してくれました。

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左は石臼、右は熾した炭を中に入れて使うアイロンです。

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二階に上がって重たい木窓を開けると、珠山村の全貌が良く見渡せました。専門的な建築様式の言葉が良く分からずに戸惑った顔をしていると、一緒に行った女性が詳しく説明してくれるのですが、それでもやっぱり中国語なので今一つ十分には理解できませんでしたが、「3つの棟と門で囲まれた四合院は、正面奥に家長が住む母屋と祭壇の間があって、その左右両脇の棟は家を守るという意味で「護隴(フーロン)」と呼ばれています。一般的には母屋の切妻が燕のしっぽのように跳ね上がっている「燕尾」、護隴の切妻は馬の背中のように丸くなっている「馬背」になっています。正面に向かって並んだ棟の数によって、「二落」、「三落」と数えます。三落は少しお金持ちの人の家ですね。どの村にもあるため池は、雨が少ないからというわけではなく、風水の関係です。」と教えてくれました。

翟山坑道

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翟山(ザィサン)坑道は1961年から5年の歳月をかけて掘られた軍事要塞で、1998年から一般の人も見学することができるようになりました。薄暗い坑道に降りると海への出口から光が差し込み、繰り返す波の音だけが誰もいない洞内に響いていました。

金門城

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金門城は明朝の洪武20年(1387年)に江夏の周徳興によって築かれ、「金のように固く雄々しい海の門」という意味で金門と名付けられました。当時は東西南北にある城門を巡る城壁に囲まれていましたが、現在残っているのは東、南、北門です。


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歴史のある街らしく、村の中にはかつては立派だったであろうと想像させる廃屋が残っています。すぐ近くに金門酒蔵の工場があり、風に乗って高梁酒の香りが漂ってきます。工場に立ち寄って展示即売所に行くと、係のお兄さんたちが新聞を読みながら暇そうにしていました。陳年(長期熟成もの)で良いのがあれば買おうと思って尋ねると、「これは20年の特別ものだよ」とひと瓶6000元もするものを紹介してくれました。すると傍にいた女性が、「違うわよ、これは10年ものよ、いい加減ねぇ」と、いとも簡単に熟成期間を半分に値切ってしまいました。最初の男性は「えぇ、そうだっけ?」と悪びれる様子もありません。台湾式ですね。ま、どちらでもいいんですが、「試飲させてくれる?」と聞くと、「試飲はこっちのやつだけ」と、普通のスーパーで売っているやつを入れてくれました。とうことで高いやつは買わずじまい。

水頭古聚落

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ここは金門の観光案内によく出てくる「得月樓(デユェロゥ)」です。清朝末から民国初期の間、この村の人たちは南方との商売で財をなし、いくつかの洋館を建てました。得月樓はその中の一つですが、村を守るための物見台の役割も果たしています。また、これらの建物は地下道で結ばれているそうですが、生憎工事中で中を見ることはできませんでした。

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町中を歩いていると、バスケットのゴールポストがポツンとひとつだけ置いてありました。きっと子供たちの遊び場ですね。

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水頭の港は中国大陸への窓口で、小金門と結ぶフェリーに交じって福建省の泉州や廈門への船もここから発着しています。

金門の名産「包丁」

金門の名産と言えば、高梁酒、麺線、それに包丁です。ということで包丁を作っている工場を見学しました。

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材料は山ほどある砲弾の筒です。これをふいごで熱して、

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ハンマーで叩いて薄く伸ばし、鉄が柔らかいうちにカッターで形を整え、

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グラインダーで磨くと、中華包丁の下地が出来上がります。店のショーウィンドーに並ぶ包丁を見ているうちに私もつい欲しくなって、気に入ったものを一本買いました。

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今日は一日強い風の中をバイクで走り回り、身体が冷え切ってしまったので、夕食は金城鎮の食堂で火鍋を食べました。食事を終えて金門鎮公所前を通りかかると、珠浦路の古い街並みがうす明りの中にぼんやりと浮き上がっていました。

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宿に帰って熱いシャワーで温まり、写真を整理していると羅さんがケーキとビールを持って現われました。どうやら昨晩中庭で話していた時に、そろそろ誕生日だという話を覚えていて、忙しい合間を縫って買ってきてくれたようです。思いがけないプレゼントに「謝謝」です。


【お店の情報】
金合利鋼刀 金門縣893金寧郷伯玉路一段50-54號 TEL 082-326789
金永利鋼刀 金門縣893金寧郷伯玉路一段226號 TEL 082-322333
どちらも見学可能です。

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