台湾便り 金門(3) 古寧頭、瓊林、風獅爺 [離島]
今朝は爽やかな青空です。天秤棒の両脇に大きな漏斗を抱えたお年寄りが、庭先の野菜畑に水やりをしていました。
朝の冷たい空気を大きく吸いながら、民宿の裏手にある小高い丘の上まで登りました。家々から人が出て来て、街もそろそろ動きだします。
燕尾の上で民家を守る龍。
大きな音につられて頭上を見上げると、朝一番の立榮機が飛び立って行くところでした。
散歩から戻ると、机の上にビニール袋に入った饅頭と麺線が置いてありました。羅さんは今日も朝から見かけません。月曜なのできっと子供たちを金城鎮の学校へ送って行ったのでしょう。宿には他に誰もおらず、何だか留守番を任されたみたいで妙な気分です。11時の飛行機で台北に行くと言っていたので、すれ違いですね。お礼の手紙を残しておきましょう。
さてバイクに乗って出発です。気温が低く冷たい風が頬を切ります。隣り町の歐厝(オゥツォ)を通り抜け、島の西北にある古寧頭(グゥニントゥ)地区に向かいました。
古寧頭の北山、南山
古寧頭の町の南にある門をくぐると、間もなく右の慈湖、左の海に挟まれた海岸道路を通ります。
道路を横殴りに通り抜ける風のため、木々が斜めに伸びています。遠浅の海の向こうに小金門の島影が霞んで見えました。
古寧頭は山海の恵みと、遠浅の海によってもたらされる塩田に恵まれた豊かな村でした。雙鯉湖を挟んで向かい合う北山村と南山村の生活は、国共戦争によって大きく様変わりしました。
今も砲弾の跡が生々しい洋館が残っています。
北山町に一歩足を踏み入れると、軒を突き合わせた石造りの家々は、微妙に角度を変えて建ち並び、いつの間にか自分のやって来た方角がわからなくなって、時には洗濯物が干してある民家の中庭に突き当たったりしてしまいます。日向ぼっこをしているお年寄りに道を訪ねて、しばらくするとまた同じ人に出会う・・・そんな迷路のような路地を、郵便配達のバイクがスイスイと走って行きました。
井戸の水を汲み、リヤカーを引く、そんな日々を送る生活・・・子供の頃を思い出させます。
瓊林
古聚落には「祠堂」もしくは「祖厝」と呼ばれる祖先を祀る家廟が必ずあります。これは瓊林(チョンリン)の名家蔡氏の祠堂です。
伝統建築の技法を使って真新しく家が修復されています。本島ではあまり手を付けられていない伝統家屋の修復保存が、馬祖や金門の離島で行われています。
金湖鎮瓊林の静かな街並みからは想像しがたいのですが、住宅街の地下に延々と続く防空壕があります。どこまで続くか不安にかられながら、先の見えない狭い地下道を行くと突然階段が現れて、風獅爺の立っている町はずれの広場に出ました。
風獅爺
金門の古聚落や街道を行くと、時折石造りの獅子像を見かけます。これは風獅爺(フォンシイェ)と呼ばれる村の守り神です。装飾を排した素朴な石の彫像ですが、それぞれになかなか魅力的な表情をしています。
洋山 中蘭
古崗 西園1 西園2
金門城 瓊林1 瓊林2
宿に戻ると相変わらず誰もおらず、荷物を片付けてバイクの股に挟み(う~ん、台湾人になった!?)、地図を頼りにバイクを返しに行きました。奥さんが携帯で呼び出すと、眠そうな顔をした旦那さんがシャツをたくしあげて出て来て、空港まで送ってくれました。
思ったより見るところが多くてちょっと忙しい旅でしたが、週末は天気が崩れるという予報とは裏腹に、雨に会わずに済んだ二泊三日の旅で、金門の伝統的な閩南建築が今も残る集落を見、実際に寝泊まりすることができました。短い滞在ではありましたが、福建、金門、台湾本島と続く歴史の道を垣間見たような気がします。
朝の冷たい空気を大きく吸いながら、民宿の裏手にある小高い丘の上まで登りました。家々から人が出て来て、街もそろそろ動きだします。
燕尾の上で民家を守る龍。
大きな音につられて頭上を見上げると、朝一番の立榮機が飛び立って行くところでした。
散歩から戻ると、机の上にビニール袋に入った饅頭と麺線が置いてありました。羅さんは今日も朝から見かけません。月曜なのできっと子供たちを金城鎮の学校へ送って行ったのでしょう。宿には他に誰もおらず、何だか留守番を任されたみたいで妙な気分です。11時の飛行機で台北に行くと言っていたので、すれ違いですね。お礼の手紙を残しておきましょう。
さてバイクに乗って出発です。気温が低く冷たい風が頬を切ります。隣り町の歐厝(オゥツォ)を通り抜け、島の西北にある古寧頭(グゥニントゥ)地区に向かいました。
古寧頭の北山、南山
古寧頭の町の南にある門をくぐると、間もなく右の慈湖、左の海に挟まれた海岸道路を通ります。
道路を横殴りに通り抜ける風のため、木々が斜めに伸びています。遠浅の海の向こうに小金門の島影が霞んで見えました。
古寧頭は山海の恵みと、遠浅の海によってもたらされる塩田に恵まれた豊かな村でした。雙鯉湖を挟んで向かい合う北山村と南山村の生活は、国共戦争によって大きく様変わりしました。
今も砲弾の跡が生々しい洋館が残っています。
北山町に一歩足を踏み入れると、軒を突き合わせた石造りの家々は、微妙に角度を変えて建ち並び、いつの間にか自分のやって来た方角がわからなくなって、時には洗濯物が干してある民家の中庭に突き当たったりしてしまいます。日向ぼっこをしているお年寄りに道を訪ねて、しばらくするとまた同じ人に出会う・・・そんな迷路のような路地を、郵便配達のバイクがスイスイと走って行きました。
井戸の水を汲み、リヤカーを引く、そんな日々を送る生活・・・子供の頃を思い出させます。
瓊林
古聚落には「祠堂」もしくは「祖厝」と呼ばれる祖先を祀る家廟が必ずあります。これは瓊林(チョンリン)の名家蔡氏の祠堂です。
伝統建築の技法を使って真新しく家が修復されています。本島ではあまり手を付けられていない伝統家屋の修復保存が、馬祖や金門の離島で行われています。
金湖鎮瓊林の静かな街並みからは想像しがたいのですが、住宅街の地下に延々と続く防空壕があります。どこまで続くか不安にかられながら、先の見えない狭い地下道を行くと突然階段が現れて、風獅爺の立っている町はずれの広場に出ました。
風獅爺
金門の古聚落や街道を行くと、時折石造りの獅子像を見かけます。これは風獅爺(フォンシイェ)と呼ばれる村の守り神です。装飾を排した素朴な石の彫像ですが、それぞれになかなか魅力的な表情をしています。
洋山 中蘭
古崗 西園1 西園2
金門城 瓊林1 瓊林2
宿に戻ると相変わらず誰もおらず、荷物を片付けてバイクの股に挟み(う~ん、台湾人になった!?)、地図を頼りにバイクを返しに行きました。奥さんが携帯で呼び出すと、眠そうな顔をした旦那さんがシャツをたくしあげて出て来て、空港まで送ってくれました。
思ったより見るところが多くてちょっと忙しい旅でしたが、週末は天気が崩れるという予報とは裏腹に、雨に会わずに済んだ二泊三日の旅で、金門の伝統的な閩南建築が今も残る集落を見、実際に寝泊まりすることができました。短い滞在ではありましたが、福建、金門、台湾本島と続く歴史の道を垣間見たような気がします。
2008-12-15 21:27
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コメント(2)
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いつもながらの素敵な旅行記、楽しませていただきました!
地下道があるなんて、なんだかドキドキしますね~。
宿の方からのお誕生日祝い、嬉しかったでしょうね。
もうお誕生日は過ぎてしまったのかもしれませんが、私からも
「ヒデさん、お誕生日おめでとうございます!」
by ビオ (2008-12-19 01:15)
ビオさん、
どの村にもお年寄りが多いので、国共戦争当時の記憶はまだ風化していないのでしょうが、皆さんの温和な表情や語り口からは胸の内を図るすべもありません。今では観光地になっていますが、当時のことを想像すると、胸が痛みます。
誕生祝い有難うございます。
by ヒデさん (2008-12-19 23:41)