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台湾便り 台中 [中西部]

大甲媽祖廟のお参りを済ませた後、台中に足を伸ばすことにしました。西部幹線海線の大甲から山線の台中へ電車で行くには、一旦彰化まで下ってから北行きに乗り換えて引き返さねばならず、乗り継ぎが不便なので、バスを利用することにしました。

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光明路に面した巨業客運のバスターミナルで係の人にバスの時刻を尋ねると、「10分おきぐらいに出ているから大丈夫」と教えてくれましたが、その話が終わる間もなくバスがやって来ました。

さて、台中までは清水、沙鹿の町を経由して約1時間で着きました。午後2時近くになってしまったので、「先ず腹ごしらえをしなければ」と、豬脚の人気店「阿水獅豬脚大王」に向かいました。成功路から自由路に入って台中公園方面に進むと・・・ありました、ありました。真新しいHoliday Inn手前の雑居ビルの中に、赤く目立つ大きな看板が目にとまります。

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ところが、何と店の前に行くとシャッターが下りていて、「引っ越しました」との張り紙がしてあるではありませんか。

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仕方がないので再び台中駅の方に戻り、適当な小吃店を探していると、典型的な台湾風の小吃店がありました。とりあえずこちらでエネルギー補給です。

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台中公園は市民の憩いの場として親しまれている緑いっぱいの広々とした公園です。

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日本統治時代に整備されていて、今でもその面影を見ることができます。

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公園のすぐ隣、市府路の一角に観光玉市の大きな市場があります。なかなか面白そうですが、私には見立てが分からないし言葉のハンデもあるので、まだまだこういう所はひとりで買う自信がありません。そういえば、この間板橋に行った時、太太は玉の細工物を売っている店のおばさんに果敢に挑戦してたなぁ。やっぱり、度胸ですかね。

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大正13(1924)年に建てられた市政府を訪れ、老舗の一福堂で凰梨酥のお土産を買い、

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日本料理屋のあるアーケードを通り抜けて、

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台中駅に着きました。駅舎は3年前に改修が行われ、大正6(1917)年当時の姿が復元されました。

大甲で急に思い立って足を伸ばしたので、台中は駆け足でした。台中は台湾の茶芸館ブームが始まった所だそうです。一度ゆっくりお茶でも飲んでみたいと思います。

台湾便り 大甲媽祖廟(鎮瀾宮) [中西部]

今年ももう11月に入りました。今月末で台湾に来てから丁度3年になります。これまでの無事を感謝して、大甲(ダァジァ)の媽祖廟にお参りに行くことにしました。媽祖廟は關帝廟と並んで、台湾で最も信仰されている神様ですが、中でも大甲の鎮瀾宮は、北港や鹿港と並んで歴史が古く、台湾を代表する媽祖廟です。

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新竹からに電車に乗って南下し竹南の駅を過ぎると、西部幹線は「海線」と「山線」に分かれ、彰化で再び合流します。大甲は海線にあります。

電車に乗ると、私の席の通路を挟んだ反対側に、5歳くらいの男の子とお爺さんが座っていました。しばらくして弁当売りの人が来るとお爺さんが呼び止め、少し迷ってから豆菓子をひと袋買いました。お爺さんが袋を開けると、その子はその袋を抱えたまま、通路に立つ大人たちをかき分けて、斜め前の席でお婆さんに抱っこされている女の子の所にお菓子を持って行きました。どうやら自分より先に妹にあげようとしたようです。二人はニコニコしながら、小さな手で仲良く豆菓子をつまみ始めました。
戦後、皆が貧しく物がない時代、分け合うことが当たり前でした。物に充ちあふれる今、人々は益々物を独占したがるようになってきたように思います。


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さて、大甲の駅を出て中華路を鎮瀾宮へ向かいます。土曜のお昼時、お天気も良く、人出も賑やかです。

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お祭りの定番「糖ふうろ」や、名産の「大甲芋」も並んでいます。

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順天路を右に曲がると、ほどなく鎮瀾宮に着きました。建物は清朝の雍正年間に建てられたもので、200 年以上の歴史をもっています。

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廟前の広場では、交通安全の祈願をしていました。日本ではお宮さんなどで神主が祝詞をあげてくれますが、こちらではちゃんちゃんこを着たおじさんが、何やら呟きながら燃やした金札の煙で車の周りをいぶして行きます。

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屋根には様々な人形が置かれています。きっとそれぞれに媽祖にまつわる話の場面を表しているのでしょうね。

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門を入ると中は参拝の人でごった返していました。

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お供えの金札がうず高く積まれています。私も並び居るたくさんの神様にお線香をあげました。

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廟の内部は精巧な石彫や木彫で飾られています。


少しゆったりとお参りを済ませて廟を出ると、外はカンカン照りで汗ばむ陽気でした。
台中に向かいます。

『大甲鎮瀾宮』 台中縣大甲鎮順天路158號
旧暦 3 月 23 日の媽祖の誕生日前後には、 “媽祖遶境進香”の盛大な祭りが催され、御本尊の媽祖像が、7 泊 8 日をかけて北港の奉天宮との間を往復します。

台湾便り 台湾中部の旅(6) 日月潭、九族文化村 [中西部]

第四日 日月潭から九族文化村へ

早朝の日月潭

目を覚ますと昨晩からの雨は上がっていました。

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垃魯島、玄光寺、玄奘寺、慈恩塔が、朝靄にかすんでうっすらと見えます。朝の静寂の中で、ボートの櫂が水をかく音が、鏡のような湖面を伝わって聞こえてきます。朝食まで時間があったので、ホテルのすぐ下から湖畔に続く涵壁歩道を散策しました。

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益水口は水門のない日月潭の水位を調節するために作られた出水口です。日本がこのダム湖での発電所を建設した際、最高水位を746mに保つように設計しました。

ホテルに戻ってゆっくりの朝食を済ませ、水社のバス停から南投縣公車に乗って九族文化村に向かいました。バス停で知り合ったパンクヘアーのオランダの青年は、一番前の座席で隣り合ったパナマ帽をかぶった台湾人のおじいさんと流暢な中国語で話していましたが、そのうち話が日本のことに及び、今度は楽しそうに日本語で話を続けていました。異国で外国人同士が日本語で会話をしているのを聞くのは、何とも不思議な気分です。

九族文化村

九族文化村は日月潭から番子田山(947m)を挟んだ反対側の谷にあって、阿美、排湾、卑南、布農など台湾原住民の中の九族の生活様式や歌・舞踊などの文化を紹介したテーマパークです。
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縦9m、幅8m、高さ6mの石は魯凱族の聖なる岩「萬山神石」です。日本にも熊野を始めとして神石の信仰が到る所に残っており、自然崇拝の原型は共通のものがあります。

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排灣族の首棚。敵を牽制するため、部落の入口に置かれたそうですが、併せて疫病や悪霊の退散、生命に対する尊敬の念といった意味も込められていたようです。

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南の島「蘭嶼」に住む達悟(タオ)族の住居は、竹造りで涼しそうです。

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どこの部族もそうですが、丹精をこめて規則正しく編み込まれた織物の美しさには目を見張ります。

阿美族の踊り

広場では阿美の若者たちによる歌と踊りが始まりました。

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祈りの火を起こし

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大空を仰いで声高らかに歌い

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手をたずさえて走り、

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輪となって集う。

明るく楽しい宴でした。


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お昼過ぎに文化村を発って、水里から集集線に乗り、二水で自强號に乗り換えて帰路につきました。

新竹に近づくにつれて、車窓から見える風景は次第に見慣れた都会の風景に変わって行きました。

(後記)

台湾に住んで2年半になりますが、観光で有名な阿里山と日月潭を初めて訪れました。風景の美しさもありますが、旅の楽しみは何といってもその土地の人たちとの交流です。美味しいお茶を入れてくれた阿里山日出商店のお兄さん、古坑華山民宿のご主人、遊覧船の船長さん、皆さんとても親切で旅を楽しむことができました。毎日のように雨にあったのに、いつもタイミング良く、早朝の景色や夜景を楽しむことができたのも幸運でした。


台湾便り 台湾中部の旅(5)  水里から日月潭へ [中西部]

第三日 その2 水里蛇窯、日月潭

民宿からほど近い華山バス停に向かって歩いていると、反対方向からバスがやって来ました。手を挙げて運転手さんに「斗南に行きたいんですが」と言うと、構わず「乗って」と言われました。しばらく先の埔尾でUターンして来るのですが、暑いバス停で待たずに済むので助かりました。

乗って来る人たちは皆顔見知りばかり、運転手さんも「じっちゃんばぁちゃん」と他愛もない話をしながら(台語なのでティァボーですが多分そうでしょうね)、時折大笑いをしています。太太は「意味が分かればいいのになぁ」と残念がっています。

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運転席にぶら下げられた日めくり暦も昨日のまま、時間が止まったような田舎ののんびり風景です。

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斗南から電車で二水まで行き、集集線に乗り換えました。水里に着くとたくさんの子供たちも一緒に降りてきました。田舎駅のホームは時ならぬ賑わいです。

水里は日月潭の西南入口にある町で、木材集散地として豊富な薪材と良質な陶土を利用して、製陶・窯業が営まれています。

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この町の陶芸文化園区にある蛇窯(登り窯)を訪れました。

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1927年に作られた蛇窯は長さ40m近い細長い柴焼の登り窯です。柴の灰が陶器の上に落ちる具合によって、豊かな質感のある素材の上に様々な色合いを引き出します。

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煉瓦作りのアーチをくぐると、

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高さ7m近い大きな花瓶がありました。世界最大の陶器の花瓶だそうですが、どうやって花を生けるんでしょうね。

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緑に覆われた中庭には、蓮の花やひときわあでやかな蘭の花も咲いていました。


水里から日月潭へ

少し古いですが、「魯氷花」という題名の台湾映画があります。美術大學を出たばかりの若者が、先生として赴任した小さな田舎町で、子供たちと次第に心を通わせて行くのですが、その舞台となったのが日月潭の湖畔にある村です。

南投県魚池郷の海拔748メートルにある日月潭は、周囲30kmほどの台湾最大の高山湖です。拉魯(ラル)島を境に、北半分は太陽の形、南半分は三日月の形に似ていることから、日月潭の名前がつけられました。湖の水源は合歓山を源流とする濁水渓です。

今回の旅の最後は日月潭の湖畔に宿をとりました。沈む夕日に輝く湖面、朝靄に煙る山水、そのどちらをとっても台湾を代表する景観のひとつと言って良いでしょう。
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この所、毎日のように夕方になると夕立が降るので少し迷いましたが、空模様も何とか落ち着いているので、水社に近いホテルの桟橋から遊覧船に乗って湖上の風景を楽しむことにしました。船は先ず湖の中ほどにある邵(サオ:「人」という意味)族の聖地垃魯島へ寄り、対岸の玄光寺桟橋を経由して、今も邵族の人たちが住む伊達邵(イダサオ)に向かいます。

邵族は台湾で最も小規模な原住民族のひとつで、生活範囲はかつて水沙連と呼ばれた日月潭、頭社、埔里を中心にしています。美しい山と湖に恵まれた日月潭に住んでいた邵族の人たちは、清朝早期に漢人が侵入したため方々に離散し、また、清朝末期にすすめられた開放政策よって、18世紀には人口が300人程度に激減しました。

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自然環境に恵まれた日月潭は漁業資源も豊富です。邵族の漁は 「浮嶼誘魚」 と呼ばれ、竹を編んだものに泥を敷き、野花や雑草から伸びた根が魚を誘き寄せ、格好の漁場となります。日月潭ではこのような浮島があちこちに見られます。岸辺近くには古来から使われている跳ね網もありました。

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伊達邵の桟橋で下してもらい、少し早目の夕食にしました。二週間前にハイキングクラブの仲間と貓囒山に登った帰りに立ち寄ったレストランです。雨がパラつき始めたので、テラスは諦めて建物の中にしました。ちょっと暗くて闇鍋風になったので、周りのテーブルから蝋燭をかき集めていたら、ライトを明るくしてくれました(最初から言えば良かった)。

台湾便り 台湾中部の旅(4) 古坑散歩 [中西部]

第三日 早朝の古坑散策

朝目を覚ますと、明るい空が広がっていました。中庭に出ると、この家のワンちゃんが遊んでいました。昨日は大雨の中を飛び込んで随分吠えられましたが、一日過ごしている間に少しなついてくれたようです。様子を見にきたご主人が「散歩に行きますが、ご一緒にいかがですか」と誘ってくれました。

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朝ごはんまでにはまだ十分時間があったので、私たちもご一緒することにしました。車で標高500mほどの亀仔頭への登り口まで行き、華山村を見下ろす山の斜面をゆっくり1時間ほど歩きます。ご主人は車を降りると、「気持ちいいですから、いつもこうしているんです」と言って素足になり、ヒタヒタと歩道を歩き始めました。

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山の急斜面にはビンロウ樹が密集し、辺りの空気にはジャスミンの花のような香りが漂っています。

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ビンロウの花は椰子と同じような形をしていて、実はオレンジ色をしています。

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ビンロウの林に囲まれるようにして、お茶やコーヒーが栽培されています。

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珈琲の実はまだ青く、この実が珈琲独特の赤褐色になるのは10月頃だそうです。今年はあまり作柄が良くなく、少ししか収穫できなさそうだとのことでした。元々生産量の少ない古坑珈琲なので、ちょっと残念なことです。

蔡顕勇さんの陶房

1時間半ほど歩いて麓まで戻って来ると、ご主人が「陶芸には興味がありますか?」と尋ねました。太太も私も好きなのでその旨を伝えると、地元の陶芸家「蔡顕勇」さんの工房に案内してくれました。


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工房に向かう道には、見たこともない漢字が書かれたタイルが点々と埋め込まれていました。伺うと台湾語のあて字だそうで、その意味と漢字の構成の妙に思わず「なぁるほど」と納得させられます。

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工房は緑に囲まれ、すぐ傍を渓流が流れています。達磨さんのような風貌をした蔡顕勇さんが笑顔で迎えてくれて、私たちが日本人だと知ると、「ちょっと待って」と言って、「風の盆」の小原踊りをテーマにした習作を奥から持って来て見せてくれました。日本には行ったことがないそうですが、風を感じさせるゆったりとした踊りの動きに刺激を受けて作品にしたそうです。

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宿に戻って軽い朝食を済ませ、バスの時間まで少し時間があったのでのんびりしていると、ご主人が2階の食堂でコーヒーをいれてくれました。酸味がなくあっさりした味で、何だかお茶を頂いているようなさわやかな感じでした。台湾でもなかなか手に入らない豆なので、少し分けていただきました。

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窓の外には頂きが少し雲に隠れた華山が見えました。暖かい民宿でのもてなしにお礼を言って、9時過ぎの台西客運バスで斗南の駅に向かいました。

(水里の蛇窯へ続く)

台湾便り 台湾中部の旅(3) 古坑華山へ [中西部]

第二日 その2 古坑 

コーヒーといえばブラジル、コロンビア、はたまたブルーマウンテンで有名なジャマイカ・・・でも、台湾にも珈琲の産地があるのをご存知でしたか?台湾に初めてコーヒーが持ち込まれたのは18世紀、イギリス人によってでした。その後日本統治時代に、日本人がArabica種を栽培したのが商業生産の始まりです。嘉義から少し北東の山間部に入った雲林縣古坑(グゥカン)郷華山村は台湾珈琲の産地です。先日ひょんなことからこのことを知り、今回の旅行で阿里山から日月潭に向かう途中、目的地のひとつに加えて一泊することにしました。

嘉義から電車に乗って斗南の駅に降り立ったのが午後2:30過ぎ、華山行きの台西客運公車の券売所でバスの時刻を尋ねると、バスは先ほど出たばかり、次は4:45までないとのことです。折からの夕立ちで外は大雨、仕方がないので予約した民宿までタクシーで行くことにしました。

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土砂降りの雨の中、ようやく宿に着くと、ご主人が玄関まで出迎えてくれました。「先ずはお茶にしますか?」と二階に上がって温かいお茶を入れてくれました。南投縣に近い古坑はコーヒーばかりでなく、当然お茶の産地でもあります。ご主人と話をしながらお茶を頂くうちに、身体の方も暖かくなってきました。伺うと日本人の客は私たちが初めてだそうです。

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雨の中を案内された私たちの部屋は、四合院の形式で建てられた離れでした。

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入口に小さな机と数客の椅子が置かれた小さな部屋があり、その右が私たちの部屋です。

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夕食は本館の二階で。古い農具を利用した内装は、気分を落ち着かせてくれます。

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夕食後、ご主人が開け放ってくれた窓からは、ビンロウの木の向こうに美しくきらめく斗六の街明かりが見えました。平日の今日は私たちの他に客はなく、静かに夜景を見ていると、何だか自分たちの家にいるように寛いだ気分になりました。

【宿の情報】

『懐古驛桟民宿』 古坑郷華山村華山路97號 TEL 05-590-0148
斗南駅から台西客運華山行き終点下車すぐ。
http://055900148.emmm.tw/


台湾便り 台湾中部の旅(2) 阿里山から嘉義へ [中西部]

第二日 阿里山から嘉義へ

ご来光

昨日夕刻から霧雨が降っていたので半分諦めていましたが、目を覚ますと雨音は聞こえません。どうやら雨は上がったようです。

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阿里山駅に着くと、「日の出列車」に乗るべく、既に長蛇の列ができていました。祝山駅までは約30分、林の中を走りぬけますが外は真っ暗闇で、学生の団体さんは寝不足のせいか皆コックリ・・・。

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祝山駅に着いてしばらくすると、次第に雲がオレンジ色に染まり、くっきりと浮かび上がった山の稜線近くが黄金色に変わりました。夜明け前の美しい光景です。

巨木群

帰りは途中の沼平駅で降りて、森林の中の巨木群を散策しながら戻ることにしました。

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緩やかな石畳の道を歩いていると、

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朝露に濡れた木々の合間に花が咲き、姉潭の畔では小鳥を見かけました。

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沼平駅周辺の森を巡る環潭歩道には、到る所に巨木の切り株が目に付きます。日本統治時代にこの森から多くの大木が伐採され、阿里山鉄道で嘉義の町に運ばれました。

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森の中に突然現れた「受鎮宮」。軒下の彫刻は見事なばかりです。

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早朝の森林浴を終わって見通しの良い峠に出ると、朝日を浴びた山並みが見えました。約2時間の心地よい行程でした。

少し早いですが、9:10の嘉義縣公車で阿里山を発つことにしました。バス停で待っていると、昨晩旅客中心で一緒になったドイツ人の旅行者に会いました。今朝は少し疲れたので日の出の時間に間に合わず、私たちの話を聞いて明日行ってみることにしたようです。彼は4週間の休みを台湾で過ごし、今日一日阿里山を散策するそうです。これまでにもチベットやベトナム、中国大陸の各地などを旅行したようで、温和な風貌で漂漂と語る口調は、いかにも自然体で旅慣れた様子でした。

蘭潭水庫湖畔の茶楼

昼食は嘉義の市内でとることにしました。いつも魯肉飯では味気ないので思案していると、持参した市街図を見ていた太太が、面白そうな所を見つけました。市内東部の蘭潭水庫のほとりにある茶楼です。

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門を入ると正面に中庭の池があり、

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洒落た格子窓のある廊下を通り、


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池を巡って案内された部屋は、

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心地よい風が通り抜ける落ち着いた雰囲気の食卓でした。

少し古風な建物の雰囲気を楽しみながらゆったりした食事を済ませ、2:00少し前の列車で斗南へ向かいました。

(古坑へ続く)

【お店の情報】

『竹居茶樓』 嘉義市大雅路二段275號 TEL 05-271-5001
http://www.chug.com.tw


台湾便り 台湾中部の旅(1) 嘉義から阿里山へ [中西部]

今年は少し早い夏休みを頂いて、太太と三泊四日の旅に出かけました。「のんびりマイペースの旅なら行く先は任せるわ」というので、今回は阿里山(嘉義縣)、古坑(雲林縣)、水里、日月潭(南投縣)を訪れることにしました。

第一日 嘉義から阿里山へ
朝はゆっくり、10時過ぎの新幹線419号で新竹から嘉義へ向かいました。

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運良く限定班次で車内販売しているお弁当を手に入れました。前々からちょっと狙っていたお弁当です。新鮮な野菜と雞肉の煮込みが入って120元です。

九華山地蔵庵

高鐵嘉義から嘉義縣公車(BRT: Bus Rapid Transport)に乗って火車站まで行き、そこから中山路を東に30分ほど歩くと、ひときわ高い九華山地蔵庵(北嶽殿)の建物が見えました。

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清朝時代(1697年)に建てられたこのお寺は7層の楼閣で、各階にお釈迦様、観音様、阿弥陀仏、薬師如来などが祀られています。

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7階まで上ると嘉義の街並みが見渡せます。ふと足元を見ると、お寺の瓦屋根の中に鳥が巣を作っていました。古い木造の平屋が並ぶこのお寺の周りは、その名も寺町にふさわしい「安楽街」という名前でした。

阿里山へ

駅前で魯肉飯と雞湯の軽い昼食を済ませ、午後2時過ぎの嘉義縣公車で阿里山に向かいました。実は既に阿里山鉄道の切符を確保していたのですが、先日の台風と大雨で土砂崩れが起きて、奮起湖-阿里山駅間が運休になってしまいました。鉄道はバスに比べると約1時間長くかかりますが、沿線の巨木群やスイッチバックなどがあってその分楽しめるのです。ツアーコンダクターとしては、ちょっと悔しいところですが、自然が相手ではどうしようもありません。

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5時に阿里山總站に着き、ホテルに荷物を置いて散歩に出かけました。霧雨に煙る駅構内の引き込み線には、既に今日の役割を終えた客車がひっそりと並んでいました。

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阿里山は何といってもお茶の名所、これを欠かすことはできません。おいしそうなお饅頭とお茶を売っているお店があったので立ち寄ってみました。買ったお饅頭をお茶請けにいただきながら、お店のご主人とお茶の話・・・平日でお客さんが少ないせいか、私たち二人に丁寧につきあってくれました。ちなみにこのお店は創業45年で、台北の三越にも出店しているそうですが、値段はここと同じだそうです。

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週末は観光客でにぎわう商店街も、平日は少し手持ち無沙汰の感じです。

奮起湖-阿里山間は運休ですが、比較的安定した地形の阿里山から沼平、祝山の間は列車が運行しています。日の出に合わせて列車が出るそうで、旅客中心の人が時間を確認してくれました。日の出は5:32、列車は4:30発です。う~ん、早い・・・が、太太は乗り気、明日は3:30起きです。

【お店の情報】
『阿里山日出商店』 阿里山郷中正村32號 TEL 05-267-9759

台湾便り 貓囒山と後尖山 [中西部]

南投県魚池郷にある日月潭は、台湾で有名な景勝地のひとつです。標高748mにあるこの湖は山間の盆地になっていますが、周りを取り囲む山々の中に「四兄妹山」と呼ばれる山があります。今回はハイキングクラブの仲間と、湖の北側にある三男の貓囒山(1020m)と、南側にある四男の後尖山(1008m)を目指しました。ちなみに長男は水社大山(2120m)、次男は大尖山(2017m)で、共に日月潭からの標高差が1200-1300mある健脚向きの山です。

貓囒山歩道

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竹藪に囲まれた登山道を抜けると、茶畑が広がりました。ここは「行政院農業委員会茶業改良場魚池分場」といういかめしい名前の付いた施設ですが、元々は1938年に作られた台湾アッサム紅茶の製造工場です。

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試験場のある小高い丘の上からは、茶畑越しに日月潭が見渡せます。近くで仕事をしていた地元のお兄さんに聞くと、これから先の登山道は先日の台風でかなり荒れているというので、ここで引き返すことにしました。

伊達邵(イダサオ)

伊達邵は台湾原住民の中でも少数である邵(サオ)族の人たちが住む町で、かつては徳化社と呼ばれていました。食事の美味しい民宿があるというので、お昼はここで食べることにしました。

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緑いっぱいの庭にテーブルが置かれていて、湖からの風を受けながら戸外で頂く食事は格別です。

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マンゴーと香菇(シイタケ)。まん中の香菇は独特のタレと一緒に煮込んであって、お肉のような感じでした。

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総統魚。良く日月潭を訪れた蒋介石に因んで料理の名前が付けられています。曲腰魚を清蒸にしていますが、合わせのスープとネギが抜群の相性です。

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豚肉料理ですが、胡麻の葉が香ばしく、添えてあるパイナップルの甘みと唐辛子の辛さが良く合います。

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水密桃(左)と南瓜(カボチャ)の煮込み。水密桃は甘さがくどくなく、南瓜も一緒に入っているリンゴが、酸味と甘みを加えています。

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食事の後、腹ごなしに少し湖畔を散歩しました。船着場は遊覧船に乗るお客さんで賑わっていました。日月潭は陸客にも人気があるのだそうですが、この中にもいるのかなぁ。

後尖山(1008m)

登山口の頭社から後尖山山頂までは、高低差300m弱、距離にして約1kmということで、気軽に登り始めたのですが、どうしてどうして登山道は急斜面で、最後は階段に手がつくほどの胸突き八丁のチャレンジコースでした。山頂に着いた時には霧がかなり濃くなって、日月潭の絶景を見ることはできませんでした。

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登山道の脇に百香果(パッションフルーツ)の畑がありました。たまたま下に落ちていたのを仲間が見つけ(ホントです)、割って差し出してくれました。果物屋で買うものよりもジューシーで、渇いた喉を潤してくれました。

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台湾のあちこちで売られているビンロウのほとんどは、ここ南投県で作られています。根の張りが浅いビンロウの畑は、台風で強風や大雨に会うと容易になぎ倒され、地すべりなどの災害をもたらします。山の上まで続くビンロウの林を、ちょっと複雑な思いで見上げました。

【お店の情報】
『日月潭富豪群渡假民宿』 南投縣魚池郷日月村秀街8號 TEL 049285-0307
詳細は下記サイトを参照ください。
http://www.fhsml.idv.tw/

台湾頼り 苗栗鉄道文物展示館(鉄道博物館) [中西部]

銅鑼から新竹に戻る途中、苗栗の駅で下車して鉄道文物展示館に立ち寄りました。ここには日本統治時代に活躍した蒸気機関車やディーゼル機関車が保存展示されています。改札口で「鉄道文物展示館へはどう行けばいいですか?」と尋ねると、「ああ、鉄道博物館ね」といって道を教えてくれました。どうやらこちらの呼び方の方が通じるようです。駅の南の地下道を潜って、英才路を南に行くと線路沿いに入口がありました。

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CT152 1918年 日本 大阪汽車製造会社製作 西部幹線旅客用
全生産台数672輌と、日本で初めて量産製造された2-6-0(1C)車軸配列の8620型テンダー型蒸気機関車を原型とし、台湾ではE500型(後にC95、C150型と改称)として43輌が導入されました。

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