台湾便り 新豐の廟會 [台湾の文化]
そういえば昼間、お掃除のおばさんが、「あんた台湾のお祭り好きだろ?今日はこの近くで大きな祭りがあるから見に行ったら?うちの旦那も町内会の人たちと一緒に準備してたよ」と教えてくれたのを思い出しました。
食堂のある新豐の老街には煌々と明かりが灯り、夜市に繰り出した人たちでごった返しています。
普段何もない広場には、突如でっかい建物が出現し(裏から覗くと、実は張りぼてです)、人間と同じくらいの大きさの人形が、機械仕掛けで動いていました。
どうやらこのお祭りは「廟會」と呼ばれるもので、義民廟を祀るこの近辺の町村が持ち回りで開いていて、この場所に来るのは何年振りかのことだそうです。
義民廟祭に登場するお馴染みの神豬も、電飾を一杯つけてきらびやかに勢揃いしていました。
でも折角頑張ってこんなに飾り付けたのに、祭りは一晩だけで終わってしまうそうで、何となくもったいない気もしますねぇ。
台湾便り 台湾の森林~水彩画展 [台湾の文化]
気に入った絵が何枚かあったので、画集を買いました。
森に分け入る射光。
台湾の森は深く、苔むしています。場所は違いますが、そのままの雰囲気です。
福山植物園の湖畔を巡る遊歩道。
これはきっと同じ場所ですね。
台湾に来てから時々山歩きをしていますが、展示された絵を見ていると、まるでその中に佇んでいるような錯覚に陥ります。
外に出て上を見上げると、青空にポッカリ浮かぶ白いお月さま。
鴨がねぐらに向かう頃には、
竹湖畔の遊歩道はもうすっかり影となって、
学びの宿の煌々とした明りが、ステンレスのモニュメントに映し出されています。
見上げると、月は暗くなった夜空に、ひときわその輝きを増していました。
秋の夕日はつるべ落とし、あっという間の日暮れです。
台湾便り 中秋節 [台湾の文化]
毎年この時期には、皆さんが「月餅の贈り物合戦」をしていますが、
今日頂いたのは欣葉の「馨緑香蘭」・・・緑豆餡が羊羹のような歯ざわりです。
外側もボロボロと崩れることもなく、「さすが欣葉」と感心しました。
満月までにはまだ数日ありますが、
夜空に仲良く浮かぶお月さんと金星を見ながら、またまた食べてしまいました。
「メタボに注意!」
台湾便り 中元節 [台湾の文化]
毎年この時期になるとアパートの隣の廟の前に布袋戲(ブダイシ)の屋台がやって来ます。
颯爽と登場したのはカッコいい青年と、何やら得体のしれない人物です。
一緒に見ていたお兄さんに「話の内容がわかりますか?」と聞かれたけれど、台詞が台湾語なのでチンプンカンプンでした。
ちなみに、垂れ幕にある王文生さんは、独学で古典的な布袋戲の偶雕作りを学んだ人形作家で、自らあみ出した一刀流の技法で数多くの秀作を作っています。
台湾では中元節を過ぎると、夕暮の風に少し秋の気配を感じるようになります。
台湾便り 划龍舟(ドラゴンボートレース) [台湾の文化]
我が社もレースに参加するようになって今年で3年目になります。昨年までは台北の国際レースに参加していましたが、今年は練習場所の都合で地元新竹縣主催のレースに鞍替えしました。今年は光栄にも拉拉隊長(応援団長)を拝命し、勇んで会場に出かけました。
台湾便り 神様の練り歩き [台湾の文化]
先頭の団旗に導かれて鐘の音のように重層な銅鑼が鳴り、
台湾便り 南管劇 [台湾の文化]
俳優さんは皆女性で、台詞は基本的に歌になっていますが、ラ行やバ行の発音が多く、北京語に比べるとずっとまろやかで、抑揚のある調子で女性が話すと殊に優しく聞こえます。また、しなやかに動く指の表現がとても優雅で印象的です。言葉が古来の広東語なので、台詞の意味は舞台の脇に出る北京語の字幕を頼りにするしかありませんが、ストーリーの中で女性が強いということは良く判りました。古代の中国では女性はか弱いという印象があったので、ちょっと意外でした。
舞台が跳ねた後で。新錦珠劇団は60年近い歴史を持つ劇団ですが、近くで見ると皆さん若いのでちょっと驚きました。
台湾便り 新竹の元宵節 [台湾の文化]
中国語のレッスンが終わった後、先生に「それでは今週の宿題は、原小姐(ユェンシャォジェ)についての感想を作文に書いてきてください。」と言われましたが、そんな名前の女性には全く心当たりがなく、思わず「原さんって、誰ですか?」と尋ねたら、先生はひとしきり笑った後で、「違いますよ、元宵節(ランタンフェスティバル)について書いてください」と言われました。「シャオジェ」と聞くとすぐに女性を思い浮かべる私の短絡回路も問題ですが・・・かくの如く中国語の四声は難しい。
さて、今日二月二十一日は農民暦一月十五日の元宵節です。ここ新竹でも様々なイベントが繰り広げられています。駅前の広場では「快楽慶元宵燈謎晩會」と名打った催しが開かれ、市長さんを始めとした来賓のあいさつがあった後、子供たちが色々な表演を披露してくれました。
先ずお嬢さんたちによる民族舞踊があって、
こちらは紐を見事に操って独楽を回す伝統技藝、
太極拳の演武や花をイメージしたバレエもありました。
親水公園では打ち上げ花火が次々に上がり、辺りは火の粉と煙に包まれました。
ちょっとお腹が空いたので立ち食いです。こちらは葫蘆糖(フールゥタン)のお店。糖葫蘆とも言いますが、苺やミニトマトの外側に飴やカラメルを絡ませたものです。右は旋轉馬鈴薯。その名の通りじゃがいも一個をバラさずに螺旋状に切って串に刺して揚げたもので、お好みで胡椒やその他のスパイスを振りかけて食べます。味はポテトチップと全く同じですが、どっちかというと食べにくいです。
東門街から迎曦門にやって来ると、人、ひと、ヒト・・・パレードの中を電飾バスや高速バス、それにオートバイがごちゃまぜになって、まさに台湾の縮図のような混沌とした光景です。
そんな喧噪を地上に残して、天燈がゆっくりと夜空に舞い上がって行きました。
城隍廟にお参りに行くと、天井から色とりどりの提灯がぶら下げられ、鼠年にちなんでミッキーマウスなども見かけました。
露店で花火や爆竹をしこたま買い込んだ若者たちは、町の至る所で派手に鳴らして楽しんでいます。
アパートに帰って来た後も、花火の音はいつ果てるともなく続き、正月最後の夜が更けていきます。
台湾便り 元宵節(平溪天燈節) [台湾の文化]
旧暦の1月15日は「元宵節(ユェンシャオジェ)」です。台湾ではこの週末から、あちらこちらで提灯が飾られ、色々なイベントが開かれます。一番規模が大きいのは、台湾観光局が主催して台南で開かれるもので、花火も大々的に打ち上げられます。その他にも大きなイベントがあるのは台北の国父紀念館、高雄の愛河といったところでしょうか。何回か台南に行っている会社の子は、「ヒデさん、行くなら安全帽とカッパ持ってった方がいいですよ。火の粉をかぶりますからね」と忠告してくれました。
農民暦一月十五日是「元宵節」。在台湾、従一個多禮拜前、到處装飾燈籠、又挙行各種各様的活動。最大的是在台南台湾観光局挙辦的元宵節、大規模地放焔火。另外在台北的國父紀念館、高雄的愛河也有很大的活動。幾次去過台南元宵節的同仁給我忠告説、「阿英、如果你想去台南元宵節的話、最好準備安全帽與雨衣、因為煙火可能會打到身上」。
少し考えた末に、今回は平溪の「天燈節(ティェンタンジェ)」に出かけることにしました。新竹からだと電車を乗り継いで3時間余り、ちょっと遠いのですが、鄙びた田舎の雰囲気が気に入っているのと、それに火を入れた天燈が山間から夜空いっぱいに上がる幻想的な光景を見たいと思ったからです。
想一想後、我決定去平溪天燈節。平溪離新竹比較遠、要接着換三次公車與火車、但因為我喜歓那郷下的氣氛、加上我也想要看天燈従山間一斉飛舞的畫面」。
平溪でこの天燈が使われたのは、清朝の時代に大陸の安溪から平溪一帯にやって来た人たちが、山族に追われて山中に避難した時、留守を守っていた村人が危機が去ったことを山中の家族に知らせるために、信号として使ったのが始まりだと言われています。
根據傳說,天燈的施放傳統是始於清朝時代、大陸移民到達台北平溪一帯開墾、當時山區有時盜匪會騒擾民眾於是,平溪鄉民就會往山中避難,直到危機解除,留守在村中的壯丁以施放天燈為信號,通知躲在山中的村民回家。
平溪線は本数も少なく車両も短いので、電車はすし詰め状態です。こんなイベントがある時は、臨時列車を出してくれると有難いのですが、皆さんもみくちゃになりながらも割と平気で和気あいあいです。平溪駅のホームも人があふれています。駅前から会場の平溪國中(中学校)に続く基隆河沿いの道路には、屋台がずらりと並んでいました。
平溪線班次比較少、當日電車裡擁擠不堪在。這麼特別的活動時、如果能够有加班的臨時列車的話、就太好了。大家都擠得一塌糊塗、但好像都没什麼関係、大家一團和氣。平溪站的月台上也擠満了旅客。沿着基隆河通到平溪國中的路上、擺満了各種攤子很熱鬧。
お店では色鮮やかな「天燈」も売っています。この中に火を入れて、熱気球のように飛ばします。暗い帳の下りた山間の町のそこかしこから、天燈が夜空に舞い上がって行きます。
有些商店賣很漂亮的天燈。天燈裡有煤油的金紙、施放前將油紙點燃、並把整座天燈按下來接近地面,燃燒數秒之後讓熱空氣充満天燈、熱空氣便能使天燈升空。山間裡夜幕降臨、到處天燈飛舞了。
天燈には願い事を書きます。たっぷりの鞭炮(ビェンパオ:爆竹)をぶら下げて飛ばす人もいますが、上がり具合がゆっくりだと、頭のすぐ上で耳をつんざく音がして、火の粉が降りかかって来ます。
天燈上大家都寫上願望。有些人掛着很多鞭炮放天燈。如果上昇得比較慢的話、鞭炮就放在大家的頭上、聲音震耳欲聾、火星飛落一地。
思いは 夜空へ
平和祈念会場となった平溪國中(中学校)の校庭では、それぞれの思いを乗せた何百という天燈が放たれて、
平和祈念會場的平溪國中的校庭裡、載満大家願望的幾百個天燈一斉施放、
やがて夜空に吸い込まれて行きました。 元宵節を過ぎると、台湾は少しずつ春の兆しを感じるようになります。
不久就在夜裡的天空中消失了。 元宵節一過、台湾的新年就算終束了、春天的脚歩也越來越近了。
台湾便り 布袋戲 [台湾の文化]
二年前新竹に来た時からずっと気になっていた北門街の 「ふるさとぶんかのみんぞくげいひん」という看板が掛かっているお店に行きました。日本語の意味はちょっと分かりにくいですが、台湾の伝統的な民俗文化である布袋戲(ブダイシー:人形劇)の人形を売っているお店で、新竹にはこの一軒しかありません。
お店に入ると、たくさんの人形が並んでいました。安いものは1,500元ぐらいから、高いものは頭だけでも10,000元以上します。正統なものは顔や手足を一つ一つ木彫りで作り、衣装も丁寧に手で刺繍をするので、どうしても値が張ってしまいます。
お店のらおばん(ご主人)曾文燈さんが、色々な種類の人形を操って見せてくれました。
これはテレビでもやっているドラマの主人公で、目や口も動いて微妙に表情が変わります。
ちょっと見づらいですがこれは「変面」。実際の劇と同じように、首を激しく左右に振ると、
あら不思議、一瞬で人形の顔が変わります。(ちなみに、らおばんの顔は殆ど変わりません。)
このお店には日本人観光客が割と訪れるそうですが、値段が張るせいもあって、大体らおばんの人形遣いを見て満足して帰っちゃうそうです。私が真顔で欲しいというと、値段による素材や工程の違い、人形の動かし方などを丁寧に教えてくれました。ワインとお茶を御馳走になりながら、らおばんに色々な演技のお手本を見せてもらいましたが、奥さんと御嬢さんも一緒になって茶々を入れたりして楽しんでいました。人形の表情や動きは精緻で、動作が終わるごとに、思わず歓声があがります。らおばんが「やってごらん」といって人形を渡してくれましたが、当然ながら動きはまるで別人というか殆ど死に体で、「ちょっと練習しないとね」と言われました。失敗してぶつけてもいいように、練習用の安い人形もあるのですが、まぁ飾っておくつもりなのでそこまでは・・・。
「何人ぐらいで劇をするんですか」と尋ねると、何と一人芝居なんだそうです。ちょっと擦り切れたボストンバッグを開けて見せてくれましたが、中には沢山の人形と一緒に、皿回しや槍、刀など色んな小道具が入っていました。小学校や公民館などでやるそうですが、ギャラの方は「小一時間演技をして2,000元ですよ」と教えてくれました。
ついでにちょっと表の看板の話になりました。人に頼んだので日本語の意味は今ひとつ分からないまま使っているそうですが、どうやら中国語の「故郷文化民俗藝品」をそのまま直訳したようです。「あまり聞かない日本語ですねぇ」と言ったら少し当惑していたので、「ま、人形を見たら何のお店かすぐ分かるから大丈夫ですよ」と言うと安心した様でした。
色々と見せてもらった中では変面がとても気に入ったのですが、今手に入るのはおじさんが使い込んでちょっと傷んだやつしかないというので諦めました。安くしてくれるって言ってはくれたんですけど・・・。
どれにしようか散々迷ったあげく、折角なので正統派のものにしました。なかなかいい顔してるでしょ。これ、目が動くんです。どこか文燈さんに似てますね。
【お店の情報】
「國達精品店」 新竹市北門街109號 TEL 03-5250289
城隍廟から北門街を北大路に向かって行くと、老街商店街の左側にあります。
詳しくはこちらの Web Site を参照ください。
http://blog.yam.com/lksa2006